水害:知る、情報収集、危機回避、備える

水害:知る、情報収集、危機回避、備える

1、知る

1-1 雨の強さ、雨量について

近年の日本では、異常気象による大規模な水害が多発しています。ニュースなどでも様々な用語が使われていますが、気象庁では、雨の強さについて以下ののように示しています。

豪雨  :著しい災害が発生した顕著な大雨現象。

集中豪雨:同じような場所で数時間にわたり強く降り、100mmから数百mmの雨量をもたらす雨。

局地的大雨:急に強く降り、数十分の短時間に狭い範囲に数十mm程度の雨量をもたらす雨。「局地的な大雨」とも言う。

水害の発生する雨量は様々な記述がありますが、警報・注意報発表基準一覧表(神奈川県)茅ヶ崎市では、洪水の警報・注意報などは、複合基準*1によるとのことです。

雨量については、基本的に以下で紹介する情報等をよく確認する必要があります

 

気象庁 雨の強さに関する用語

https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kousui.html

警報・注意報発表基準一覧表(神奈川県)

https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kijun/kanagawa.html

 

1-2 都市部の集中豪雨の発生プロセス

集中豪雨は、上記のとおり同じ場所で短時間に大量の雨が降る現象です。特に都市部においては、ヒートアイランド現象などにより、都市の気温が周辺地域より高くなる現象が一因となることが多く、高温の都市部で上昇気流が発生し、大気が不安定となりやすくなります、不安定な大気と活発な対流により発達した積乱雲が発生します。積乱雲により、急激な降雨を引き起こします。この現象が特に都市部で多く発生しており、都市型水害のリスクを高めています。

 

1-3 豪雨への流域対応

都市部では河川の流域が狭く、水が一度に流れ込むと氾濫のリスクが高まります。これに対応するため、地方自治体や民間でも「貯留施設」「浸透施設」などを整備しています。「貯留施設」は、浸水被害の防ぐために雨水を一時的に貯留する施設です。

茅ヶ崎市の場合、千の川流域の対応として「上ノ田公園雨水調整池整備事業」で貯留施設などが整備されています。民間工事では、一定規模の工事等行う場合に「貯留施設」「浸透施設」などを整備が義務付けられています。

 

2、情報収集

2-1 メール通知

 

水害被災の回避に重要なことは、リアルタイムで情報を得ることが重要です。国や都道府県、市町村などの自治体からは、メール通知サービスを通じて防災情報が提供されています。

 

茅ヶ崎市:「ちがさきメール配信サービス」

ちがさきメール配信サービス (cous.jp)

 

神奈川県:「緊急速報メールによる洪水情報の配信」

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/f4i/bosai/push_mail.html

 

国土交通省:茅ヶ崎市等 相模川 神川橋(神奈川県平塚市)

緊急速報メールを活用した洪水情報のプッシュ型配信

https://www.mlit.go.jp/river/gijutsu/kinkyusokuhou/index.html

配信対象

https://www.mlit.go.jp/river/gijutsu/kinkyusokuhou/pdf/haishin_r0506_s109.pdf

 

このような通知サービスを利用することで、豪雨や河川の氾濫が迫っていることを迅速に知ることができます。

 

 

2-2 調べる

ご自身でインターネットなどで調べる際には、以下のようなサイトがありますので、避難に備えた行動基準をあらかじめ作成する際などにも一度確認してみると良いかもしれません。

 

気象庁 「キキクル」

https://www.jma.go.jp/bosai/risk/#lat:34.592520/lon:137.949829/zoom:7/colordepth:normal/elements:hazardmap&land

 

国土交通省 「川の防災情報」

https://www.river.go.jp/index

 

国土交通省

カワナビ お天気・防災情報アプリ・ウェブサイトリンク集

https://www.mlit.go.jp/river/kawanavi/observe/link006.html

 

 

2-3 これらの情報も:雨の強さ、降り方

基本的には、公的機関などの情報をもとに判断されるかと思います。実際に目の前で降っている雨の強さや1時間降雨量など知るときに利用できる資料になります。

https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/amekaze/amekaze_index.html

 

2-4 こうなったら要注意:洪水予兆

洪水が迫っているサインを見逃さないことが重要です。例えば、川の水位が急激に上昇したり、川の流れが濁る、ゴミや流木が増えるなどの兆候が見られた場合、洪水が起こる可能性が高まります。このようなサインを見つけたら、すぐに安全な場所に避難する準備を進める必要があります。

 

天気予報:「大気の状態が不安定」「雷」「天気の急変」などの表現があるとき

警報や注意報:雷注意報、大雨や洪水の警報・注意報が出ているとき

レーダーなどの観測情報(民間気象事業者の携帯電話サービスなどで入手):周辺や上流で雨が降っているとき

空の状態:「急に真っ黒な雲が近づいてきた」「雷鳴が聞こえる」「稲光が見えた」とき

川の状態:「水かさが増えてきた」「濁ってきた」「流木や落ち葉が流れてきた」とき

警報装置:サイレンの音が聞こえるとき

看板、表示板:「危険区域には立ち入らない」「雨のときには川から離れてください」「通行止め」などの表示があるとき

 

内閣府ホームページ ときには人の命をも奪う局地的な大雨 こんなときは要注意

https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h20/11/repo_01.html

 

3、危機回避

3-1 災害に障害となる心理

災害に障害となる心理を知り、避難限界で逃げ遅れないように

災害時に「正常性バイアス」と呼ばれる心理的障害が原因で、避難行動が遅れることがあります。これは「自分は大丈夫だろう」「ここまで大きな災害にはならない」という過度な楽観視からくるものです。この心理が避難行動の遅れにつながり、命に危険を及ぼすことがあります。

 

 

3-2 まずは安全な場所へ早めの避難

浸水で避難できる高さには限界があり、廊下・居室からの避難は、水圧でドアが開かなくなる水深30cm 、また、歩行困難水深は、大人男性70㎝、女性50㎝、小学5~6年生20㎝であり、水害時には、早めに行動を開始し、避難の必要性を判断することが重要になります。

 

国土交通省 避難行動における限界条件の設定

https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/saigai/tisiki/chika/pdf/g-11_g-14.pdf

 

 

3-3 やむを得ず自宅避難

やむを得ない事情で避難所に避難できない場合や、避難のタイミングを逃した場合は、自宅であれば避難する選択肢も考慮する必要があります。その際は、河川から離れ建物強度がある建物でれば2階以上の安全な場所に移動し、食料や飲み水を確保することが重要です。また、電源やガスの元栓を切るなど、二次災害を防ぐための対応も必要です。浸水対策でとれる状況であれば、入口などを土嚢、ドアサッシの隙間にタオル、ガムテープなどでガラス目張りなどもありますが、まずは命を守る行動が優先になります。

 

 

3-4 二次災害

水害時には、洪水や浸水だけでなく、二次災害も発生する可能性があります。特に、工場や倉庫からの有害物質の流出や、水が引いた後の感染症のリスクには注意が必要です。

 

4、備える

4-1 マイタイムライン

マイタイムラインは、洪水のような災害が発生した際に「いつ」「何をするのか」を個人で考えて事前に準備した「個人の防災計画」です。マイタイムラインを作成するにあたり、水害リスクや周囲の危険を知り、家族全員で避難所までのルートを確認し、どのタイミングで避難を開始するかを具体的に決めておくことで、命を守る避難行動につながります。

国土交通省 マイタイムライン かんたん検討ガイド

200622_mlit_MTL_fix_ol

神奈川県 マイ・タイムラインについて

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/f4i/bosai/my_timeline.html

 

4-2 避難生活を支える備え

避難生活を支えるためには、事前に必要な物資を準備しておくことが重要です。非常食や水、医薬品、衛生用品など、最低限必要なものをリストにして管理しましょう。最近では「ローリングストック」という方法が推奨されています。これは普段から少し多めに食料や水を購入し、消費した分だけ買い足すことで、常に新鮮な備蓄を保つ方法です。

 

国土交通省 マイタイムライン かんたん検討ガイド
国土交通省 マイタイムライン かんたん検討ガイド

5、まとめ

水害から命を守るためには、正確な情報収集と早めの行動が鍵となります。豪雨の特徴を理解し、適切な準備を行うことで、リスクを最小限に抑えることができます。また、災害時には冷静な判断が求められ、日頃から避難計画を立てておくことが重要です。事前に備えることで、自分や家族の安全を確保しましょう。

 


その他記事リンク